- 必要なパスをテクスチャベイクで作成する
- ベイク結果をレイヤ形式の画像で書き出す
- 外部画像編集ソフトで必要なテクスチャを作成する
- 法線の上方向の色域からテクスチャ作成
- マーカー色で形状ごとのテクスチャ作成
- テクスチャをインポートして適用する
このチュートリアルはShade3D Ver.25.0以降で作成しています。
形状作成などの基本操作をショートカットなどを混えて紹介します。
使用しているショートカットキーは初期設定時のものを使用しています。
キーボードショートカットはCtrlWindows/commandmacOSのように表記しています。これは Windows では Ctrl キーを、macOS では command キ ーを押す操作となります。
CtrlWindows/commandmacOS+x では Windows では Ctrl キーと x、macOS では command キーと x を押す操作となります。
xWindows/macOS では Windows でも macOS でも x キーを押す操作となります。
テクスチャベイクについて
Shade3D Ver.25.0から搭載された、法線、照明、間接光、マッピングなど、レンダリングで生成される様々な要素をテクスチャに焼き付ける、メタバースを始めとしたコンテンツ制作の品質を大きく向上させることができる機能です。
テクスチャ用のイメージを生成するほか、それらを組み合わせたマテリアルの生成も行うことができます。
重要 Shade3D Professional / Civil / Ultimate にのみ搭載されている機能です。
テクスチャベイクでは「発光」、「XY法線」、「表面材質:アルベド、メタリック、ラフネス」、「オクルージョン」など通常のマテリアル設定しても使用しているパスや、「形状ID」、「マーカー色」など外部ソフトでテクスチャを作成するときに有用なパスを指定することができます。
今回は「オクルージョン」を使用した作例と、「法線(グローバル)」、「マーカー色」のパスを使用した作例の2点をご紹介します。
1.「オクルージョン」を使用して溝が発光している形状を作成する
「オクルージョン」パスを使用して、形状の溝部分が発光しているようなテクスチャを作成します。Shde3Dのみで作成することができます。
この項目で使用するshade3dデータはこちらからダウンロードできます。
1-1.マテリアルが設定されている細かい溝のある形状を用意する
「カプセル」から作成した溝のある形状に「PBRマテリアル」を設定した「egg」を用意しました。
マテリアルは「表面材質」 > 「新規作成」 > 「新規PBRマテリアル」から「ベースカラー」を「RGB:27」、「ラフネス」を「0.45」としてそれ以外は初期値が設定しています。
「egg」のUVは全てのUVが重ならないように再配置してあります。
※テクスチャベイクで必要なUVの配置については「複数のオブジェクトのマテリアルを統合する」をご覧ください。
1-2.「テクスチャベイク」を選択する
「ツールボックス」 > 「編集」 > 「共通」 > 「その他」グループ > 「テクスチャベイク」を選択します。
1-3.「オクルージョン」パスをオンにする
遮蔽をグレースケールの濃淡で表現したオクルージョンマップを作成するために「オクルージョン」パスを有効にします。 「テクスチャベイク」の下段、「パス」リストから「オクルージョン」のチェックボックスをオンにして有効にします。
1-4.オクルージョンマップを作成する
「ブラウザ」で「egg」を選択して「テクスチャベイク」のモードを「レンダリングのみ」、「レンダリング」を「全ての形状」、「UVレイヤー」を使用するUVレイヤーをここでは「1(距離補正)」)に設定して「ベイク」を選択し、レンダリングを開始します。
1-5.オクルージョンパスをイメージオブジェクトに書き出す
「イメージウインドウ」の「チャンネル」ポップアップメニューから「オクルージョン」を選択し、「編集」ポップアップメニューから「イメージオブジェクトを作成」で「ブラウザ」に書き出します。
※オクルージョンパスの表示と書き出しの詳細な手順については「テクスチャベイクでオクルージョンマップを作る」の4-1、4-2の手順をご覧ください。
1-6.「発光」として設定する
「ブラウザ」で「egg」を選択し、「表面材質」ウインドウの「マッピング」グループ > 「使用」から「1-5」で書き出した「レンダリング画像」を選択します。「属性」を「発光」、「合成」を「乗算」、「反転」をオンに設定します。
その後、「表面材質」ウインドウの「基本設定」グループで「発光」を「1.0」に設定します。
※イメージオブジェクトのマッピング設定についての詳細な手順については「テクスチャベイクでオクルージョンマップを作る」の4-4の手順をご覧ください。
レンダリングすると溝部分が白く発光しているような形状となります。
「表面材質」ウインドウの「基本設定」グループで「発光」の「カラーボックス」に色を設定すると発光部分を任意の色に変更できます。
2.「法線(グローバル)」と「マーカー色」を使用して薄く雪のかかった形状を作成する
「法線(グローバル)」パスと「マーカー色」パスから作成したイメージオブジェクトを外部画像編集ソフトでレタッチし、テクスチャとして適用します。
この項目で使用するshade3dデータはこちらからダウンロードできます。
2-1.複数の形状にマーカー色を設定した形状を用意する
「ブラウザ」で形状やパートを右Windows/contrlmacOS+クリックして設定できる「マーカー色」を使用して、「葉」の部分に「緑」、「木」の部分に「茶」、「鉢」の部分に「青」、「鉢の土」の部分に「オレンジ」のマーカーを設定した複数の形状をまとめたパート「Tree」を用意しました。
※図面でマーカー色を表示するには「コントロールバー」 > 「形状色表示」ポップアップメニュー > 「マーカー色表示(形状編集モードを除く)」または「マーカー色表示」を選択します。
これら全ての形状を「tree」パートにまとめてUVの再配置を行なっておきます。
※テクスチャベイクで必要なUVの配置については「複数のオブジェクトのマテリアルを統合する」をご覧ください。
※図の「ブラウザ」はブラウザ上部にある「・」の付いたバー「形状表示エリア分割バー」をドラッグして二分割表示にしています。下段のバーはマスターマテリアルやマスターオブジェクト、イメージを表示する「マスターブラウザ分割バー」となります。
2-2.「法線(グローバル)」、「マーカー色」を有効にする
「ブラウザ」で「Tree」パートを選択。1-2 の手順で「テクスチャベイク」を表示し、下段のパスリストから「法線(グローバル)」と「マーカー色」のチェックボックスをオンにして有効にします。
2-3.2つのパスをベイクする
「テクスチャベイク」のモードを「レンダリングのみ」、「レンダリング」を「全ての形状」、「UVレイヤー」を使用するUVレイヤーをここでは「1(距離補正)」に設定して「ベイク」を選択し、レンダリングを開始します。
2-4.レイヤ形式でレンダリング結果を保存する
「イメージウインドウ」の「保存」ポップアップメニューから「保存(マルチレイヤー)…」を選択し、レイヤ形式(ここではpsd)で保存します。
※マテリアル未設定なので「RGB」チャンネルは白となります。「法線(グローバル)」と「マーカー色」チャンネルを表示するとそれぞれのベイク結果を確認できます。
左:法線(グローバル) / 右:マーカー色
2-5.マーカー色レイヤから形状のテクスチャを作成する
ここから 2-8 までは外部の画像編集ソフトでの作業となります。ここでは簡単な手順の説明のみ行います。画像編集ソフトの使用方法はお使いのソフトのマニュアルをご覧ください。
「マーカー色」レイヤから形状ごとのマスクを作成し、新規レイヤにテクスチャを作成したものを、png形式で「tree_texture.png」として書き出しておきます。
2-6.法線から雪のテクスチャを作成する。
「法線(グローバル)」のレイヤから上方向となる「緑」を「色域選択」し範囲を調節した後、白で塗りつぶします。
※作例は説明用に透明部分を緑にしています。
マーカー色で緑以外を選択範囲にして塗りつぶした白の不要部分を削除、細かいノイズなどから作成した色域選択で白の塗りつぶし部分に穴を開け、png形式で「tree_snow.png」として書き出しておきます。
2-7.発光用のテクスチャを作成する
白の塗りつぶしレイヤの下に新規レイヤを作成し、黒で塗りつぶしたあと、png形式で「tree_luminence.png」として書き出しておきます。
2-8.ラフネス用のテクスチャを作成する
「新規レイヤ」を作成し、「マーカー色」レイヤから「色選択」でマーカーごとの範囲選択を作成し、「新規レイヤ」に「ラフネス」の値をグレースケールの濃淡として選択範囲を塗りつぶたものを、png形式で「tree_roughness.png」として書き出しておきます。
2-9.「tree」パートにマテリアルを設定する
Shade3Dの作業に戻ります。「ブラウザ」で「tree」を選択し「表面材質」 > 「新規作成」 > 「新規PBRマテリアル」を選択してPBRマテリアルの「ベースカラー」と「ラフネス」、「発光」を以下のように設定します。
「ベースカラー」:「255, 255, 255」
「ラフネス」:「1.0」
「発光」:「0.7」
他は初期値
「マッピング」グループの「イメージ編集」 > 「読み込み…」から「tree_texture.png」を読み込み「属性」を「ベースカラー」、「合成」を「乗算」とします。
「マッピング」グループの「レイヤ」ポップアップメニュー > 「新規作成」でレイヤ2 を作成し、「イメージ編集」 > 「読み込み…」から「tree_roughness.png」を読み込み「属性」を「ラフネス」、「合成」を「乗算」とします。
「マッピング」グループの「レイヤ」ポップアップメニュー > 「新規作成」でレイヤ3 を作成し、「イメージ編集」 > 「読み込み…」から「tree_snow.png」を読み込み「属性」を「ベースカラー」、「合成」を「αブレンド」、「チャンネル合成モード」を「アルファ乗算」とします。
「マッピング」グループの「レイヤ」ポップアップメニュー > 「新規作成」でレイヤ4 を作成し、「イメージ編集」 > 「読み込み…」から「tree_luminence.png」を読み込み「属性」を「発光」、「合成」を「乗算」とします。
2-10.レンダリングで確認する
レンダリングして仕上がりを確認します。
左:雪なし / 右:雪あり
すでにテクスチャベイクでマテリアルを設定している形状にも同様の手順で「法線(グローバル)」パスを使用して雪(または砂埃など)を追加することもできます。
左:マテリアルが設定された元の形状 / 右:雪を追加で設定した形状
参考 メタバースなどで利用する場合、通常同じ属性のマッピングレイヤは1つだけに制限されているため、同じ属性のレイヤは1つに統合しておく必要があります。今回の作例では雪のかかった形状のレイヤ1 とレイヤ3 が同じ「ベースカラー」属性となっていますので、画像編集ソフトで1枚に合成しておくか、テクスチャベイクで1枚に統合しておいてから出力します。
複数のマッピングレイヤを統合する手順については「複数のマッピングレイヤをベイクして統合したマテリアルを作成する」をご覧ください。