「鍋」のモデリング(金属表現)

  • 鍋をモデリング
  • 線形状の角を丸める
  • 金属表現


ここでは、鍋のモデリングを通したPBRマテリアルでの金属表現を行います。
また、中サイズ/大サイズの2種類の鍋をモデリングします。
 
鍋の本体やフタは回転体でモデリング、取っ手はポリゴンメッシュを使用としました。

また、大きい鍋と小さい鍋はサイズのみ異なるため、モデリングデータを再利用しています。

鍋をモデリング

以下の部品をモデリングしています。

  • 本体
  • フタ
  • 取っ手

本体部をモデリング

これは回転体のモデリングになります。
正面図で「開いた線形状」を以下のように作成し、鍋の断面とします。

実際の鍋のサイズを測り、この段階のX方向の長さは約103mm(鍋本体の半径に相当)、高さを100mmとしています。
細かい箇所はズームして整えました。
ここで、線形状の角を丸める表現について追記します。

以下の画像は、「コントロールポイントを追加」機能で角部分のコントロールポイントの両端に新しいコントロールポイントを追加し、
角部分のコントロールポイントをキーボードのDeleteキーを押して削除しています。

この操作は、角のコントロールポイントを選択した状態で、
ツールボックスの「編集」-「線形状」-「編集」-「角の丸め」でも対応できます。

「角の丸め」を選択した状態でツールパラメータの半径を変更するか、図形ウィンドウ上で上下ドラッグすることで丸めのサイズを変更します。

断面の調整ができた後は、
ツールボックスより「作成」-「立体化」-「回転体」を選択し、正面図のY軸に沿って下から上にドラッグします。
以下のようになりました。

フタをモデリング

これも回転体を使ったモデリングになります。2つの回転体を作成します。
「開いた線形状」をフタの金属部と取っ手部分の断面になるように、正面図でY軸中心に配置します。

「開いた線形状」を2つともブラウザで選択し、ツールボックスの「作成」-「立体化」-「回転体」を選択。
正面図のY軸方向にドラッグします。

表面材質は仮で与えてます。表面材質は後でPBRマテリアルとして調整します。

取っ手をモデリング

取っ手部分はポリゴンメッシュで作成し、
本体とつなぐ金属部は「開いた線形状」と「掃引 円」機能を使い、自由曲面で生成しました。

取っ手部分は、前回の「「フライパン」のモデリング」と同じ手順でモデリングします。

ポリゴンメッシュの直方体を配置し、
ループスライスで上面図でX方向に3か所/Z方向に3か所分割しました。
上面図で中心部の面を選択し、正面図のマニピュレータのY軸方向に縮小し窪みを付けます。

稜線選択モードにして直方体の角のエッジを選択し、分割数1でエッジベベルを適用しました。

上面図で頂点を矩形選択し、右にいくほど細くなるようにします。

正面図で右に行くほど上上がりになるように頂点移動し、縦方向のサイズもマニピュレータを使って調整します。

正面図で左端の中央部の頂点を選択し、正面図のマニピュレータで少しY軸方向に縮小してつぶします。

少し角ばっているため、ポリゴンメッシュの限界角度を30から50に変更しました。

これで取っ手部が形になりました。

鍋本体と取っ手をつなぐ金属部は、チューブ状の自由曲面を2つ配置しています。
「掃引 円」機能を使うため、Standard/Professional版のグレードが必要です。
「開いた線形状」を下画像のように配置します。

ツールボックスの「作成」-「プラグイン」-「掃引 円」を選択し、半径1.5mmを指定しました。

生成された自由曲面の位置を調整し、上面図で-Z方向に複製しました。

なお、回転体を使用している箇所は分割数を増やすために「<鍋のふた」のように名前の先頭に「<」を入れました。
ブラウザで整理すると以下のようになりました。

これで、鍋のモデリングが完了しました。

PBRマテリアルを割り当て (ver.20 Professional版以降)


マテリアルは以下の2つの要素に分けて、マスターマテリアル(マスターサーフェス)を割り当てます。

  • 金属部 (本体、フタ、取っ手と本体をつなぐ部分)
  • 取っ手部 (鍋の取っ手、フタの取っ手)

金属部

ベースカラーとしてRGB(200, 200, 200)を指定。
メタリック1.0、ラフネス0.15、屈折率1.5を与えました。
マッピングは未使用です。

金属表現の場合、ベースカラーを少し暗くするほうがそれらしくなりそうです。
鍋の場合はアルミが使われ、反射成分は強いですのでメタリック1.0とし、ラフネスは弱めに指定することになります。
金属的なPBRマテリアルの表現については、ナレッジベースの「PBRマテリアルを使った金属表現」もご参照くださいませ。

取っ手部

取っ手部は黒色とし、少しだけ白い汚れが付いている表現としました。
取っ手のポリゴン形状は先にUVを割り当てます。
UV展開は「「まな板」をモデリング(穴の開いた形状)」と同じ手順を行いました。
UV図面を表示しUVメニューより「UV作成」を選択、ツールパラメータで「ボックスUV作成」を選択し、
「フィット」チェックボックスをオンにして「全ての面を展開」ボタンを押します。
次に「UVの再配置」-「全ての面」ボタンを押します。
取っ手部のポリゴンメッシュのUVは以下のように展開されました。

マスターマテリアルとしてのPBRマテリアルは、以下のように指定しました。

このPBRマテリアルは、鍋の取っ手部分、フタの取っ手部分に割り当てています。

ベースカラーとしてRGB(51, 51, 51)を指定。
メタリック0.0、ラフネス0.4、屈折率1.5を与えました。
マッピングは、「イメージ/ベースカラー」としてノイズパターンを使用しています。
ノイズパターンについては「「フライパン」のモデリング(PBRマテリアルを割り当て)」もご参照くださいませ。
適用率を0.5としました。
仮の背景イメージを割り当ててプレビューレンダリングすると、
以下のように取っ手でわずかに汚れがある表現となります。

これでPBRマテリアルの割り当ては完了です。
以上で鍋のモデリングとPBRマテリアルの割り当てが完了したので、「鍋(大).shd」として保存しました。

一回り小さいサイズの鍋のモデリング

この「鍋(大).shd」を元にして、一回り小さいサイズの鍋を作成します。
「鍋(中).shd」のような名前で複製を保存します。
鍋のサイズを変える場合は、差分だけ更新すればよさそうです。
鍋は、大きさが変わっても取っ手部分のサイズはそのままになります。
また、鍋の厚みも変化しません。

鍋の本体の回転体を一度「復帰」し、断面の半径と高さを調整します。

その後、回転体に戻し、取っ手部の位置を調整します。
この操作でサイズの小さい鍋が出来上がります。

スタジオシーンでレンダリング

レンダリング結果の確認のため、スタジオシーンに外部参照として「鍋(大).shd」をインポートします。
スタジオシーンについては、「アセットとして小物をモデリング」の「スタジオシーンを作成」をご参照くださいませ。
プレビューレンダリングすると以下のようになりました。

これで、鍋のモデリングとPBRマテリアル割り当てが完了しました。
次回は、別のアセットについて説明していきます。

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