- 光源で使われる用語と単位
今回は、光源で使われる用語や明るさの単位について説明していきます。
光源で使われる単語
光の強さ/明るさを表す単位としては、
光をエネルギー(物理量)として扱う放射量と、放射量に対して人間の心理的要素を考慮した測光量があります。
ここでの光束/光度/照度/輝度の説明は、測光量として扱うようにしました。
光束 (Luminous flux)
光束は、単位時間当たりの光の量を表します。
光は方向を持つため、電球のような光源からは放射状に光が放たれている状態になります。
概念的な図で表す場合、矢印の本数が光束に相当します。
単位は「lm(ルーメン)」になります。
照明そのものの明るさはこのルーメンで表現されます。
光度 (Luminous intensity)
光度は、ある方向での光の強さを表します。
単位立体角内に放射される光の量を指します。
単位は「cd(カンデラ)」になります。
光束をΦ、立体角をω(単位はsr(ステラジアン))としたとき、光度Iは以下の式で計算することができます。
I = Φ / ω
「立体角」は2次元的な角度ではなく、3次元的な要素になります。
半径1.0の球の円錐面から切り取った面積を立体角と呼びます。
半径1.0の球を全て覆う場合は、球の表面積である「4πR^2 = 4π」が立体角となります。
光が放出されるとき、すべての向きで均一の光束値というわけではなく、向きによって光の強さが異なる場合があります。
この表現で光度が使用されます。
「配光」はこの光度の分布を表したものになります。
照度 (Illuminace)
照度は、光を受ける単位面積あたりに入射する明るさを表します。
単位は「lx(ルクス)」になります。
光束をΦ、面積をS(単位はm^2)としたとき、照度Eは以下の式で計算することができます。
E = Φ / S
※ ^2は、二乗を表します。
輝度 (Luminance)
輝度は、ある方向から見た(見かけ上の)単位面積当たりの明るさを表します。
単位は「cd/m^2」になります。
光度をI、見かけ上の面積をS'(単位はm^2)としたとき、輝度Lは以下の式で計算することができます。
L = I / S'
「見かけ上の」単位面積とは、光源または対象面の法線に対して視線方向でできる角度がθの場合、
「S’ = S * cosθ」で計算される面積になります。
見る角度に対して完全に均一な拡散反射面(ランバート的な半球に分布する拡散反射)に対しては、光度は「I * cosθ」、見かけ上の面積は「S * cosθ」となり、
この場合はどの向きから見ても輝度は変化しません。
一方、現実世界の拡散反射面もしくは配光の場合は、光度は角度によって変わることになります。
そのため、見る角度によって輝度は変化することになります。
また、この輝度は表面の材質色が異なる場合に変化します。
例えば、黒い材質の場合に光は吸収されるため、輝度が低くなります。
また、画像のピクセルのようにRGBで表される「色」についても輝度に変換できます。
RGBから輝度の変換式は以下のようになります。
Y = 0.299 * R + 0.587 * G + 0.114 * B
※ これは、JPEG画像などガンマ補正がかかったRGBを変換するITU-R BT.601。
光束/光度/照度/輝度の関係をまとめると以下のようになります。
Shade3Dでの光源の明るさと単位
Shade3Dで無限遠光源や点光源、スポットライト、面光源などを扱う場合、
それぞれの「明るさ」で光の強さを調整します。
無限遠光源の明るさは単位がなく、0.0-1.0の間の数値を指定します。
スポットライトや面光源の場合は、距離値で明るさを指定します。
以下は、スポットライトの場合の形状情報ウィンドウでの明るさ指定です。
以下は、面光源の場合の形状情報ウィンドウでの明るさ指定です。
なお、光は距離の二乗で減衰します。
この場合は、明るさで指定した距離まで光が届く計算になります。
この明るさは、レンダラとして計算しやすい数値とも言えます。
一方、照明器具は「ルーメン」で明るさを表している場合があります。
無限遠光源のルクス指定
別途、無限遠光源では「lx(ルクス)」で与えることができます。
「明るさ」の右にある「lx」のチェックボックスをオンにするとルクス表現になります。
これは単純に、明るさ1.0を100k(lx)とした値を入れているだけになります。
光源でルクス指定する場合は、太陽光のような「全体を照らす光源」が多いかもしれません。
ルクスですので「照度」になります。
室外の晴天の真夏の太陽光の照度を「100k = 100,000」ルクスとしています。
これを「1SUN」と呼びます。
曇りの場合は、場合によりますが30,000から50,000ルクスあたりに下がります。
Wikipediaの「ルクス」より ( https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%82%AF%E3%82%B9 )、
明るいオフィスは約400ルクス、
月明りは約0.2ルクス、となっています。
このように単位が与えられると、太陽光がいかに明るいかというのが分かるかと思います。
点光源/スポットライト/平行光源の明るさの単位変換
Shade3Dの点光源やスポットライト、面光源などのシーンに配置できる光源は、
形状情報ウィンドウの「単位」から「ルーメン」を選択できます。
標準では「減衰基準距離」が指定されています。
点光源/スポットライト/平行光源のときと、面光源/線光源時の「減衰基準距離」と「ルーメン」の単位変換の式は異なります。
点光源/スポットライト/平行光源のときは以下の計算式になります。
減衰基準距離の距離値をt(単位はmm)、ルーメン値をΦとします。
Φ = (4π * (t^2)) / 10
これは、半径tの球の表面積を10で割った値になります。
面光源/線光源の明るさの単位変換
面光源/線光源のときは、減衰基準距離とルーメンの変換は以下の計算式になります。
減衰基準距離の距離値をt(単位はmm)、ルーメン値をΦとします。
Φ = (t^2) / π
今回は、光源の用語と単位の理解が中心でした。
次回、照明器具の「ルーメン」値をShade3Dの光源とレンダリングに反映していく流れを説明していく予定です。