BIM/CIM 設計照査ツール

  • 「BIM/CIM設計照査シート」とは?
  • BIM/CIM 設計照査ツール


※ 本件の確認は「BIM/CIM 設計照査ツール」が必要です。

前回までは、BIM/CIMで使用されるIFCと「BIM/CIM 設計照査ツール」で使用できる「IFC情報」について説明していきました。
今回から、「BIM/CIM 設計照査ツール」について説明していきます。

BIM/CIM 設計照査ツールとは ?

日本における建物や都市の道路など、建設を取り扱う機関は「国土交通省」になります。
ルール作りも国土交通省が行っています。

「BIM/CIM」についておさらいしておきます。
「BIM/CIM」は建築または土木の建造物を最終的に施工する際の流れで、コンピュータ上のシステムを使って効率化する手段になります。
「施工」は、実際に物理的な土地で建築・建造を行う作業になります。
「BIMソフトウェア」を使ってBIM/CIMに必要な属性を与えています。

「BIM/CIM」や「IFC」については、チュートリアルの「BIM/CIM」もご参照くださいませ。

「BIMソフトウェア」もしくは出力したIFCファイルを使用したデータは、施工の前段階で準備する材料になります。
最終的な施工に入る前に「チェックシート」を設けて抜けがないかチェックしていきます。
この「チェックシート」の内容は、国土交通省でガイドラインが設けられています。
それが「BIM/CIM設計照査シート」と呼ばれます。

国土交通省の「技術調査:BIM/CIM基準要領等(R2.3)」( https://www.mlit.go.jp/tec/tec_tk_000064.html )で、BIM/CIMに関する情報が記載されています。
「BIM/CIM 設計照査ツール」は、このうちページにある「BIM/CIM設計照査シートの運用ガイドライン(案)」( https://www.mlit.go.jp/tec/content/001334811.pdf )を補助するためのツールになります。

「BIM/CIM 設計照査ツール」は、この「BIM/CIM設計照査シート」のチェックシートの確認や記載を行うツールです。

「BIM/CIM設計照査シート」の対応バージョン

「BIM/CIM設計照査シート」の内容はバージョンアップされて将来項目が変更または追加される可能性もあります。
「BIM/CIM 設計照査ツール」では、Shade3D ver.21.2では「令和2年3月」用となっています。

国土交通省のサイトで「R2.3」という記述があります。
これが「令和2年3月」を表しています。

「BIM/CIM設計照査シート」とは?

では、具体的に「BIM/CIM設計照査シート」を見ていきます。
「BIM/CIM設計照査シートの運用ガイドライン(案)」( https://www.mlit.go.jp/tec/content/001334811.pdf )を参考にしています。
これは、BIM/CIMを使用した成果品をチェックするためのチェックシートになります。
ここでの「成果品」は、実施計画書に沿ったBIM/CIM用途の提出物になります。
ここにはデジタルなデータ(IFCファイルで表現される3Dモデルや属性など)のほか、設計書や図面などの書類も含まれます。
「BIM/CIM成果品の検査要領(案)」( https://www.mlit.go.jp/tec/content/001334810.pdf )も参考になりそうです。

なお、「3Dモデル」と書いた場合は3次元の形状(ジオメトリ)が含まれるデータになります。
これに対して、寸法や属性を加えたものを「3DAモデル」と呼んでいます。
なお、3DAモデルは2D図面として平面上で作成した図面の情報は持ちません。

「BIM/CIM設計照査シート」はチェックシートとして、照査内容、照査対象
の有無、照査結果、備考、の項目が列挙されています。
これは印刷(もしくはPDFなどの書類ファイルとして出力)して提出する書類になります。

照査対象

「BIM/CIM設計照査シート」は、構造物ごとにチェックシートが用意されています。
照査対象は以下のものがあります。

  • 橋梁
  • 樋門・樋管
  • 築堤護岸
  • 道路
  • トンネル
  • 共同溝
  • 仮設構造物

これらより、どちらかというとCIM寄り(土木)の建造物で使われるチェックシートのようです。

照査内容を確認する

それでは例として「橋梁」の照査シートを見ていきます。

「技術調査:BIM/CIM基準要領等(R2.3)」( https://www.mlit.go.jp/tec/tec_tk_000064.html )より、
「BIM/CIM設計照査シート (Excel)」にExcelのチェックシートを確認できます。
この一覧を確認して埋めていけばよい、ということになります。

照査内容はざっくりとしています。いくつか抜き出しました。

  • 打合せ事項は反映されているか。
  • 設計計算書の結果が正しく図面に反映されているか。(特に応力計算、安定計算等の結果が適用範囲も含めて整合しているか。)
  • 用地境界が確認でき、設計とモデルの座標値が一致しているか。
  • 計画高水位が確認でき、設計値と一致しているか。
  • 地下水位が確認でき、設計値と一致しているか。
  • 推定岩盤線が確認でき、設計値と一致しているか。
  • 柱状図が確認でき、設計値と一致しているか。

専門用語が書かれています。
設計書と照らし合わせての情報の確認となるようです。

Shade3Dの「BIM/CIM 設計照査ツール」

「BIM/CIM設計照査シート」のチェックシートは、すでに国土交通省のサイトで用意されていることを確認しました。
ではShade3Dのオプションとして用意されている「BIM/CIM 設計照査ツール」は何を行うものなのか、というのを確認していきます。
チェックシートを埋めていく、という作業を行うだけの場合はこのツールを使う必要はないかと思われます。

メインメニューの「表示」-「BIM/CIM 設計照査ツール」を選択すると、BIM/CIM 設計照査ツールウィンドウが表示されます。

「照査物を選択」で「橋梁/樋門・樋管/築堤護岸/道路/トンネル/共同溝/仮設構造物」から照査対象を選択します。
「照査シート(1)」「照査シート(2)」のいずれかを選択し「シートを表示」ボタンを押します。

以下のようにチェックシートが表示されました。

それぞれの照査内容に対して「照査対象の有無」(〇か×)、「照査結果」(〇か×)、「備考」を記載することができます。

これらの照査内容は特にシーン上の形状と関連付けられているわけではなく、テキストとしての一覧とチェックの記載を行う機能になります。
チェックシートの内容は、json形式でファイルに保存/読み込みすることができます。

Shade3Dの機能として、「ツールボックス」でメジャーツールや測定ツールにアクセスできます。

「非接続エッジ」「IFC情報」は「BIM/CIM 設計照査ツール」がないと使用できない機能です。
それ以外は「BIM/CIM 設計照査ツール」がなくても使用できる機能です。
ただし、大部分はProfessional版のグレードが必要になります。

今回は「BIM/CIM設計照査シート」とShade3Dのオプションとしての「BIM/CIM 設計照査ツール」について概要を解説しました。
次回は、橋梁の橋脚のIFCファイルを読み込んでチェック項目のいくつかを確認していきます。

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