- 配光での光の広がり方
- 照明器具の種類
今回は、照明器具の種類や配光での光の広がり方について書いていきます。
今回使用しているIESファイルや配光曲線は、筆者が開発中のShade3DのIESファイル作成/編集ウィジットを使用しています。
IESファイルを作成/編集するウィジットについては、後々公開して解説予定です。
なお、Shade3Dの配光光源としてのIESの読み込みとレンダリングはShade3D Professional版が必要になります。
配光光源をレンダリングして確認
配光をブラウザで選択したとき、形状情報ウィンドウで見ることができる配光のプレビューは少し小さいため、
これを実際にレンダリングしてどのような光の広がりになるのか確認します。
配光を確認するには壁に囲まれた部屋を作成し、天井部分に配光を配置するのが分かりやすいかもしれません。
確認用の部屋を作る
ポリゴンメッシュの直方体を配置し、天井部分の面を削除することで部屋としています。
直方体サイズは2000mmとしました。
形状編集モード+面選択モードに移行し、透視図で直方体の上面を選択します。
キーボードの[Delete]キーを押して選択面を削除します。
ブラウザでポリゴンメッシュ名を「room」としました。
「room」をブラウザで選択した状態で、表面材質ウィンドウで「Shade3Dマテリアル」を割り当てます。
ver.19以前では普通のマテリアル割り当てを行います。
ここで「光沢1」を0にして、光沢要素を無効にします。
これは純粋に光の広がりのみを確認するため、光沢が発生しないようにする目的があります。
無限遠光源の明るさを0にする
無限遠光源の明るさを0にします。
配光を配置
ツールボックスの「作成」-「光源/カメラ」-「配光」を選択し、壁寄りで正面図で下にドラッグして配光を配置します。
配光のIESファイルは、以下のものを与えました。
IESファイルは以下からzipファイルをダウンロードし、解凍してご使用くださいませ。
IESファイル : ies_light_test_01.zip
今回は明るさではなく光の広がりを見るため、光源の「単位」は「減衰基準距離」のままにしています。
適宜「明るさ」を調整します。
プレビューレンダリングすると以下のようになりました。
Shade3Dの配光のプレビューで表現されているものは ?
このレンダリング結果と、配光の形状情報ウィンドウでのプレビューでは表現が異なります。
これは壁からの距離が関係しているようです。
上面図で、壁に限りなく近い位置に配光を移動させます。
完全に壁と配光が同じ位置、もしくは壁の後ろに配光が移動した場合は光がさえぎられてしまうため、壁から少し離すようにしてください。
レンダリングすると形状情報ウィンドウでのプレビューの表現に近づきます。
ただ、形状情報ウィンドウでのプレビューはそれほど精細ではないため、
配光についてはこのようにレンダリングして確認するのが近道かと思われます。
配光で照度のプレビューがある場合、これは配光を配置したときの側面の壁の照度を見ている、ということになりそうです。
そのため、「壁からの距離」の情報もプレビューに影響します(Shade3Dの配光のプレビュー表示はこれが限りなく0に近い)。
上記の配光を使った場合に、壁から離していくと以下のような光の広がりを確認できました。
この配光の場合は、三重の円が表現されているのを確認できます。
この配光は軸対称になっています。配光によっては、非対称になる光の広がりも表現できます。
以下は、非対称のIESファイルを与えた例です。
配光曲線は以下のようになりました。
IESファイル : ies_light_asymmetric.zip
プレビューレンダリングすると以下のようになりました。
照明器具の種類
さて、配光については大まかに説明しましたので、
次は照明器具の種類について書いていきます。
器具効率と器具光束
照明器具のカタログで配光データが存在する場合は、その情報と全光束(ランプ光束)または器具光束情報よりだいたいの光の広がり方を把握できます。
光源からの光は全光束のすべてが放射されるわけではなく、照明器具自身にさえぎられたり天井にぶつかったりします。
「器具光束」は、照明器具の「器具効率」を考慮した光束です。
「器具光束 = ランプ光束 * 器具効率」の計算になります。
LED照明の場合は「定格光束」というのが「器具光束」に相当します。
また、光源で既存の電球を使用する場合、全光束は40W相当(約485lm)、60W相当(約810lm)、100W相当(約1520lm)などが明るさの目安になります。
「ルーメン値をShade3Dのシーンで扱う」の「照明器具のルーメン値」もご参照くださいませ。
以下で説明している「ダウンライト」の場合を考えると、全光束が810lmとしたときほぼ下方向のみに光が放射されるため、約50%の器具効率で器具光束は半分の405lmくらいになります。
また照明器具の反射板の効果により、もう少し器具効率は高くなります。
ダウンライト
ダウンライトは、天井に埋め込む形で真下または少し角度をつけて広く照らすライトです。
室内だけでなく玄関の軒下などでも使用されます。
いくつか列挙していきます。これ以外のダウンライトの種類もあります。
サイズ | 直径 : 約100 ~ 150mm |
---|---|
参考の全光束 | 約810 lm (白熱電球60W相当の場合) |
全光束については、60W相当(約810lm)、100W相当(約1520lm)、のように指定する場合が多いです。
真下に照らすダウンライトを「ベースダウンライト」と呼びます。
照明器具によって異なりますが、ダウンライトの配光曲線の一例は以下のようになります。
IESファイル : ies_downlight_01.zip
部屋を照らすと以下のようになります。
また、配光によっては広がり方が異なります。
以下のような配光曲線の場合は、スポットライトのように範囲が狭まった光の広がり方になります。
IESファイル : ies_downlight_02.zip
部屋を照らすと以下のようになります。
一方、角度を20度~30度ほど付けることができるダウンライトを「ユニバーサルダウンライト」と呼びます。
光源自身は同じ配光を使用し、器具により角度を変えています。
部屋を照らすと以下のようになります。
スポットライト
スポットライトは、指向性のあるライトです。角度を変えることができます。
サイズ | 直径 : 約90 ~ 100mm |
---|---|
参考の全光束 | 約810 lm (白熱電球60W相当の場合) |
ダウンライトと同じく、60W相当、100W相当といった電球を使用しています。
部屋を照らすと以下のようになります。
配光を厳密にしなくてもよい場合は、スポットライト表現は光源の「スポットライト」で調整するほうが楽かもしれません。
ペンダントライト
天井から吊り下げられているライトをペンダントライトと呼びます。
ダイニングやリビングルームなどで使用されます。
以下は、笠のある小型の「シェードタイプ」のペンダントライトです。
サイズ | 直径 : 約150 ~ 180mm |
---|---|
参考の全光束 | 約810 lm (白熱電球60W相当の場合) |
ダウンライトと同じく、60W相当、100W相当といった電球を使用しています。
部屋を照らすと以下のようになります。
スタンドライト
スタンドライトは、机の上に配置するアーム型や寝室のシェード型のテーブルスタンドなど、移動できる照明器具です。
サイズや器具光束は製品によりかなり差があるため、ここでは明記していません。
器具光束は450lm ~ 1500lmあたりで電球の40W相当(約485lm)、60W相当(約810lm)、100W相当(約1520lm)が目安となりそうです。
ブラケットライト
壁に取り付けるライトをブラケットライトと呼びます。
以下は、アッパー&ダウンタイプになります。
これを配光曲線で表すと、以下のように上下にスポットライトが表現される形になります。
IESファイル : ies_bracketLght_upperDown.zip
配光としてレンダリングすると以下のようになりました。
以下は玄関につけるブラケットライトでダウンタイプになります。
玄関の場合は室内よりも明るさは抑え気味にし、全光束として電球の40W相当(約485lm)、60W相当(約810lm)が目安となりそうです。
シーリングライト
天井に取り付ける、一灯で部屋全体を照らす照明器具です。
以下は8畳の部屋を想定した目安になります。
サイズ | 直径 : 約460 ~ 500mm |
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器具光束 | 約3300 ~ 4300 lm |
「8畳で器具光束(定格光束)3300 ~ 4300(lm)」は、一般社団法人日本照明工業会の「住宅用カタログにおける適用畳数表示基準」を参考にしました。
シーリングライトは、部屋の大きさ(畳数指定)が目安として指定されている場合が多いようです。
野外照明 : ポールライト
街灯などの野外の照明器具です。
ポールライトは、玄関に備え付ける1.5m~2mほどのものから道路や公園の街灯3.5m ~ 5mほど、それよりも高いものなど、様々な高さがあります。
家庭の玄関や庭に配置する1.5m~2mほどの高さの場合は、全光束としての40W相当(約485lm)、60W相当(約810lm)が目安となりそうです。
3.5m ~ 5mほどの高さの場合は器具光束は4500~10000lmくらい、ただしメーカーや照明器具により異なります。
また、光害対策のための規約も設けられているようです。
他にも照明器具の種類はありますが、代表的なものを列挙してみました。
今回は配光の広がり方と照明器具の種類の説明でした。
次回はいよいよ電球や照明器具のモデリングに入っていきます。